新年ストーリー④

ついに県大会団体戦当日です。

確か32チーム参加でベスト4で東海大会出場、優勝がインターハイ出場で、私達は1回戦が他の地区(愛知県を6地区に分けてたと思います)の2位通過のチームと対戦しました。こちらは私が2番手の先輩後衛と組んで1番手、ニシが1番手後衛と組んで2番手、3番手が先輩ペアか私の同級生ペアですが、この試合は先輩ペアが出場して、相手はたぶん、①③②の順番でした。結果は④-2、④-0、0-④の②-1で勝ちました。この試合は私達が勝った勢いのままニシというよりは、後衛の先輩が調子も良くて勝った感じです。

これでベスト16。次は第2シードの高校とです。

私達は先程と番手は変えず、3番手だけ私と同じ2年生ペア(ピグ&なーくん)です。第2シードの高校は私立高校で私達の高校を強敵だとは思ってはおらず、気をつけるのは菱田だけと思っているみたいで、試合前に強化選手で会ったその高校の一つ上の人達に「菱田、お前は今度も1番手か?」「…(言おうか悩んだけど、舐められてる感じだったから)…はい、1番手で勝ってプレッシャー与えます!」「じゃあオレ1番手」「オレが1番手で出たいって監督に言う」こんな感じです。私に勝っても負けても他の2チームで勝つだろ的な感じです。

笑ながら去ってく相手高校を見ながら「ニシ、今日みんなお前を知るぞ…お前は勝てないなんて言わないよな」「自分が負けるのは先輩だけです。菱田先輩が勝つなら、オレも勝ちます」

向こうの高校は監督の意向なのか、選手の意志なのか、私が駆け引きで避けると思ったのか②①③で出てきました。私達は菱田ペア、ニシペア、ピグペアの順番です。

1番手対決は凄いギャラリーの中で大接戦のファイナル④-3で勝ちました。どう勝ったかと言えば…笑われるかもしれませんが、見ていた人達も言ってた『気合で勝った』です。たぶん公式戦じゃなかったら負けてたと思います。私も集中していたのでアタックを全て止めたのと相手がファイナルのセカンドレシーブで逃げてクロスに打つのが分かって「逃げるな!」って言いながら(自分では言ったつもりは無いですが、見ていた人達に言ってたと言われた)ほぼ横っ飛びでランニングボレー決めたのが勝利の分水嶺でしたね。ニシも応援してたみんなも訳も分からない声をあげたって言ってたし、私も勝つんだ!勝つんだ!最期まで想いを繋げ!って意識していたので。

こう言う試合が1試合目だと、こっちは行ける!と思うし、相手はネガティブになるものです。

組んだ先輩と喜びを分かち合った後に、ニシとペアの先輩に「もう何やっても恥ずかしくないだろ…思いっきりやってこい。俺達みんなが応援で支えるから」「オレも目立ちますよ、先輩より笑」

2番手の試合が始まりました。相手は翌週の県個人でもインターハイ出場するペアです。

正直滅茶苦茶強く、ニシは最初は負けていないのですが、後衛の先輩が調子は良いのですが相手の後衛が上手すぎるのと、前衛もミスをしない冷静な横綱相撲の様な試合運びでデュースになっても競り負ける展開でした。相手高校もニシの動きやプレーに驚いていたけど、試合がひっくり返ることは無いな…って状況でした。もしかしたらと言うか本人達も後で言っていましたが負けをいつでも受け入れる寸前だったと思います。0-3で戻ってきた時にニシが冷静に試合を分析していて「自分が動く一手前に相手の前衛がいつも動く。それに先輩が反応して…」「ニシ、俺もそう思うぞ。でもな、お前なら何とか出来る。俺は俺だけはそう思ってる。まだチャンスはあるって思ってる。言葉では言えないけど、チャンスはあるはずだ」フェンス越しに応援してる同じ高校の仲間達も「オレもそう思うぞ」「俺も...理由は分からんけどチャンスはあるって見てて思う」「結果が決まってたらこんな沢山の見てる人居ないぞ」「そうだ!終わる試合なら他の試合見に行くって」

「でも、リズムが悪いって言うか、相手がクール過ぎるから…」

「クールか…きっかけソコかもな」

「とにかく、諦めるな。リズムは俺達に任せろ!」

「何とかなるんですか?」「分からんけど、何となくなりそうな気がする…メッチャ恥ずかしいけど苦笑」

その頃のソフトテニス(まだ軟式テニスと呼ばれてた)は掛け声を相手と合いの手の様に掛け合う、

例えば「行くぞ!」「さぁ来い!」「おう!」「来い!」「セイ!」「ハイ!」等と言い合う事がほとんどなのですが、相手ペアは声もあまり出さないペアなので、私はニシのリズムが取りにくいと思いました。

なので…ニシが「行くぞ!」と叫んだ時にまさかの私が

「さぁ来い!ニシ!」

相手高校「…」

俺達の仲間「…」

見てる人達「…」

そのコートの周りに居る人達がみんな(お前が言うのかよっ!)

たぶん、誰かが吹き出す前にニシと目が合い(後日談でそんな気がした)ニシが笑いながら

「行くぞ!」「来いや!」「セイ!」「行け!」「セイ!」「勝つ!」「勝つ!」「セイ!」

ソコからはウチの高校のみんなでニシに合いの手をかける、ここだけバンドのライブでもしてるのかと気づけば凄い観客の中試合をしてました。

結果は2-④で負けてはしまったのですが、ファイナルに行っていれば勝てたのではないかと思う試合でした。

その試合でニシは覚醒してましたね。もう止められないし、相手の監督も3-2のチェンジサイドの時に円陣組んで長いアドバイスしてましたからね。それでも試合に負けてニシは誰よりも涙を流し、3年生の先輩達に謝ってましたが、

先輩達が「最期にこんな試合を、試合するよりも試合してた。一緒に試合してた。高校でテニスやってて良かったって今日本当に思った。お前達なら夢のような団体インターハイも行けるんじゃないか…って思うよ。ありがとう」

こうして、県大会は終わりました。

明日に続きます。

SkyHigh

愛知県稲沢市の ソフトテニスクラブです。 クラブ名であるSkyHigh(スカイハイ) という名前の由来は、 目標や気持ちに 上限を決めないように、 空高く、心豊かになってほしい という意味です。